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 北海道各地にあるシーニックバイウェイ(景色のよい道路、SBW)をご存じだろうか。米国にならい、ドライブ観光を活性化させようと、2005年に国土交通省北海道開発局が始めた日本初の取り組みだ。地域住民が自治体や民間企業の支援を受け、観光客を魅了する道づくりをする。候補地を含む指定ルートは現在、17ルート。来たるゴールデンウィークで楽しんでみてはいかが――。

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支笏洞爺ニセコルートにある「秀逸な道」=喜茂別町相川、シーニックバイウェイ支援センター提供

 「美しい湖と秀峰、火山に出会える」「神秘的で優れた自然のあり様を五感で感じる」「世界中のトラベラーを癒やす最果ての自然と美食の絶景海道」……。

 SBWのルートは、いずれも特色あるうたい文句がある。各地域の活動団体が提案し、推進協議会などの審査を経て指定されるが、「どんなルート・ストーリーを描けるか」がポイントという。

 発足から20年が経ち、活動に携わる団体は北海道日本ハムファイターズや北海道コカ・コーラボトリングなどの民間企業に加え、NPOや業界団体など約500まで増えた。沿道の清掃や植栽といった日々の活動の中心は地域住民。行政側は年2回、ドライブ情報誌を各9万部つくり無料で配布するほか、ゴールデンウィーク前にはドライブマップを有料販売して支える。

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シーニックバイウェイ(SBW)北海道の17ルート

 SBW導入のきっかけのひとつが、1993年にスタートした「道の駅」だ。24時間使える清潔なトイレと無料駐車場、地域情報を伝えることがコンセプトだったが、次第に特産物の販売など活動範囲が広がった。店の少ない地域も多い道内ではドライブ観光の拠点として欠かせない存在だ。全国に1221ある道の駅のうち道内は128で、1位だ。

 SBWの戦略は、道の駅では「点」にとどまる誘客効果を「線」へと広げようというもの。ルートの途中に設置した風景を楽しむためのデッキや地元の名産を味わえるカフェは計160カ所以上。ビューポイントの駐車場の数も増やした。

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十勝平野・山麓ルートの「秀逸な道」=上士幌町、シーニックバイウェイ支援センター提供

 2021年からは各ルートの中でも「映えスポット」のような魅力的な景観をもつ道を「秀逸な道」と名づけてPRしている。支笏湖沿いの国道453号や、羊蹄山のふもとを走る国道276号などの15区間が選定され、4区間が候補地になっている。これらの区間では看板の設置や門型標識柱の撤去などを通じ、景観の保全や改善に努めている。

 活動のメリットは「地域と行政の人間的なつながりが強まったこと」(開発局道路計画課)。人口減が進む過疎地での課題解決に向けた基礎になる、との期待も高まっている。

 一方、課題は、道の駅に比べ…

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